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■国務長官訪日と「日米」の課題 1月20日にオバマ政権が発足し、その外交方針が次第に明らかとなってきた。特に今月中旬に予定されるヒラリー・クリントン国務長官の日本をはじめとする東アジア歴訪は、個別的な問題の検討というよりもオバマ政権の基本的な外交姿勢を伝え、各国の反応を見るというものになるだろう。 クリントン国務長官を含め、政権入りが取りざたされるカート・キャンベル氏や駐日大使として名前が挙がるジョセフ・ナイ教授などはクリントン政権期に活躍した人物だが、東アジア政策についてはブッシュ前政権の方針を大幅に変えるのではなく、徐々にオバマ色を出していく方針のようである。クリントン国務長官が上院で「日本との同盟はアメリカのアジア政策の礎」と言及したのもその表れであろう。 日本政府は、オバマ政権発足にあわせて、いくつかの政策を用意しているようである。第1に日米二国間関係で懸案となっている沖縄駐留海兵隊のグアム移転問題について、その実施細目を定めた二国間協定である。第2に、「イラク後」の対テロ政策の焦点となり始めたアフガニスタンと隣接するパキスタンに対する支援国会合を日本が主催することである。第3に、ソマリア沖の海賊問題に対して海上自衛隊艦船を派遣することである。 ≪東アジアを高い見地から≫ これらは対米関係だけにかかわるものではなく、国際的にも一定のアピールをもつであろう。しかし問題はこれらの政策を裏づける国内態勢が整うかである。海兵隊グアム移転の前提となる普天間基地の代替施設問題、アフガニスタン・パキスタンの現地における日本の具体的貢献策、ソマリア沖の海賊対策に関する自衛隊の行動指針、いずれも国内政治が課題となろう。 こうした具体策以上に求められるのが、米新政権に対して、高い見地から東アジア秩序およびグローバルな秩序の運営方針について意見を交わす用意である。 まず東アジアでは対北朝鮮政策である。日本として拉致問題についてオバマ政権の理解を得る努力は当然だが、北朝鮮の核放棄政策を進めることが拉致問題の解決につながるとの認識を共有すべきである。核放棄については六者協議の枠組みを維持しながらも、ブッシュ政権末期に置き去りにされた感のある核技術の移転および濃縮ウラン計画をも含めた対応が必要となろう。その際、まず日米韓三国の結束を再構築した上で中国とも連携し、ロシアの協力も求める構図が望ましい。日本としては拉致問題の進展が伴わなければ北朝鮮への直接的な支援は困難であることを示しつつ、関係国や国際機関の支援など間接的な形で協力し、枠組みの維持に努めるべきである。 また、東アジア地域秩序のあり方も議論の対象になるだろう。アジア太平洋経済協力会議(APEC)はクリントン政権の後半には力を失ってしまったが、いささか乱雑に増大した自由貿易協定網を整理するとともに、世界経済不況が深刻化し、各国で保護主義的傾向が高まっている状況に対して、APECのような枠組みの存在意義を改めて見直せるかもしれない。 ≪中国含む多国間枠組みを≫ もちろん東アジアにおいて最大の課題は中国の今後である。中国が30年の改革開放政策を経て転機にあることは間違いない。この際、中国は国内諸矛盾の解決に力を注ぐべき時であり、対外的勢力拡張策に走らないよう注意を払っていく必要がある。日本としては中国と戦略的互恵関係を築くことを目指しており、アメリカの対中関与政策とともに、中国の国力増進を協調的に方向づけることに努力すべきである。その際、経済面だけでなく安全保障面、たとえば軍備管理協定のような形での関与も考えられよう。 そして中国問題は地域を越えたグローバルな課題でもある。4月のロンドンでのG20首脳会議を経て夏のイタリアG8サミットのころには、多国間枠組みのあり方が議論されよう。中国が世界経済の中で主要国の一つとして責任を負うべき立場にあることは間違いなく、どのように役割を果たす枠組みを作っていくかを考えるべき時であろう。 最後に環境政策である。オバマ政権は前政権と対照的に環境政策を重視し、不況脱出の産業政策としても重視する。具体的にどの程度実効的な政策があるかは別として、日本は慌てることなく、これまで環境政策を重視してきた実績を踏まえ、米中が参加する実効的かつ現実的な地球環境政策の実現を目指すべきである。(産経新聞)
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