【わたしの失敗】歌手・ペギー葉山さん(73)(2)
【わたしの失敗】歌手・ペギー葉山さん(73)(2)


 ■時間かかった芸名定着

 今となっては、ペギー葉山の名を知らぬ者はないが、この名前を名乗りだした当時は、定着するまでに時間がかかったという。

 「あるショーの時、司会者が進行表があるのに『では、ご紹介します。ペギー横須賀です!』なんて言うのよ。『ペギー鎌倉です!』と言われたこともあったわ。駅の名前を言えばいいってものじゃないでしょうに」

 外国ではペギー・ヤマハと紹介されたこともある。そのほかにもベッキー葉山、ベティ葉山などいろいろあったが、いちいち腹を立てるわけにもいかず、苦笑するしかなかった。

 この芸名は高校生のころ、混線した電話がきっかけで決まったという。

 青山学院高等部に在学中、ペギーは友人の兄が結成したハワイアンバンドで女性ボーカルを探していると聞き、「やるやる!」と即決。週末はクラブで当時の流行歌などを歌っていた。

 行く先々で名前を聞かれる。本名は小鷹狩(こたかり)繁子だが、どうもピンとこない。当時は週末、どこのクラブも、バンドをはじめ、手品やダンス、ストリップなどのスペシャルショーをやっていて、出演者たちは皆、マリリンやエリザベス、ビビアンなど、ファーストネームを英語にした芸名をもっていた。

 ある日、友人と電話で話していたところ、アメリカ人の男性が紛れ込んできた。ものおじしないペギーは「英語をタダで教えてもらおう」とおしゃべりを始め、ビング・クロスビーやフランク・シナトラ、ドリス・デイなど好きな歌手の話で盛り上がっていると、ジョージと名乗るその男性が一言。

 「君の声はペギーというイメージだね」

 ペギーか。ペギー・リーという有名な歌手もいる。よし、これを芸名にしよう。ではペギーに続く名前は? ペギー小鷹狩では短絡的すぎる。当時住んでいたのは東京・中野区。ペギー中野ではどうだろう。それもいまひとつ。そうだ、御用邸のある葉山がいい!

 ほどなく、ジャズ界の一流ビッグバンド、渡辺弘とスターダスターズに見初められ、専属歌手になる。ペギー葉山の芸名が定着したのはここからだった。=敬称略  (柳谷昇子 産経新聞)