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海上自衛隊の補給艦が、インド洋で対テロ阻止活動中の各国海軍に対する補給活動を4カ月ぶりに再開した。海自が不在の間、中東・インド洋におけるフランスの動きには目を見張った。仏軍はインド洋において対テロ活動を実施し、空母も4回派遣。アフガニスタンでは1000人規模の陸上兵力を展開し、空軍も兵員を輸送している。イラク攻撃に反対しながら、フランスの国際社会への影響力はむしろ強まっている。影響力を断ち、自ら「失われた4カ月」をつくった日本とは対照をなす。自衛隊は、空母や海兵隊を保有する仏軍のように遠征型ではないが、規模はほぼ同じだ。この際立った「対照」は、外交と軍事が一体となり国益を追求する「普通の国」と、それをしない「異常な国」の差である。 フランスは表向き国連重視の立場から、米軍中心のイラク攻撃に反対したが、イラクにおける自国のエネルギー権益を守るためだったとされる。民主党も国連決議がない、海自のインド洋派遣は憲法違反だと反対したが、政権奪取に向けた政略でもあった。ただし、国家が「国益」で行動することは当然だが、外交・安全保障に関する限り、政党は「党益」で行動していいはずがない。 もっとも、イラク攻撃に反対した仏政府でさえ、海自の補給活動を、日本国憲法が尊ぶ「国連憲章に十分沿っている」と明言する。そればかりか、仏海軍は昨年11月、インド洋に面するソマリアに対し食糧援助を続ける国連世界食糧計画(WFP)の支援船を、海賊の襲撃から守るべく哨戒を始めた。ソマリア沖では、昨年初めからこの時点まで22件の襲撃が発生、内2件が支援船に対してであったのだ。ソマリアの隣には仏領だったジブチがあり、仏陸空軍が国防の一端をになう。仏権益保護が派遣目的だとしても国連重視の姿勢は貫かれた。 「普通の国」は集団的自衛権も行使できる。サルコジ仏大統領は1月、最大500人常駐の仏陸海空軍基地をアラブ首長国連邦(UAE)に設ける合意文書に署名した。仏軍のペルシャ湾岸常駐は初めてで、原油輸送の要衝ホルムズ海峡をにらむことになる。石油市場への影響力を手に入れたと、言い換えてもよい。 「普通の国」にとり派兵は難しくはない。軍事行動は「軍隊を何の目的で使うか」が刷り込まれた、平時の軍法で相当部分をカバーできるからだ。事態ごとに特別措置法を制定する「異常な国」とは対応力が違う。自民党などで協議されている恒久法が制定されれば、特措法による対応より派兵は迅速になろう。しかし、自衛隊の行動を、軍法にあらかじめ定めた軍事行動ではなく、行政事務と解しているために、恒久法が必要になる。恒久法もまた「異常な国」の証左なのだ。 常駐要請はUAEの側からだった。背景には、イランへの湾岸諸国の懸念がある。特にUAEは、イランとペルシャ湾の3島をめぐり領有権を争う。湾岸ではイラクを除くと、米軍がバーレーンやカタール、サウジアラビアなど5カ国に2000人以上を常駐、英軍もバーレーン、カタール、オマーンに空軍を投入している。米英軍がイランと戦えば「仏軍もほぼ自動的に巻き込まれる」(仏フィガロ紙)可能性は否定できない。米国はイラン攻撃に際し、フランスとの合意形成が不可欠となったのだ。 仏軍常駐でUAEは、仏製兵器の導入に、より積極的になるだろう。UAE軍は既に、ルクレール戦車をフランスとほぼ同数の約400両、ミラージュ戦闘機も約70機保有。仏制式小銃も装備する。米国と、フランスを筆頭とする欧州製兵器の、UAEでのシェア逆転すら観測されている。 両国は原子力発電開発協定まで結んだ。脱石油後を模索する中東へ、日本など先進各国が売り込みを激化させる中、軍常駐は有力な援護射撃となったようだ。小勢でも、海外の戦略拠点に軍旗を揚げることはかくも大きな国益をもたらす。 ところで先月、UAEは仏ルーブル美術館分館建設に向けた調印式を行った。「普通の国」は外交・軍事ばかりか、文化まで国益のために動員している。「異常な国」には、到底まねできない外交力である。産経新聞
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