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国会の空転が続き、民主党内にも審議拒否戦術に対する世間の批判が高まることへの懸念が高まってきた。これまでの“国会の知恵”では、「寝ていた」野党を「起こさせる」ための提案を与党が「助け舟」として出すのだが、そろそろその時期だろう。今週一杯が限界である。民主党は予算案と税制関連法案の強行採決という“暴挙”を行った与党側の“謝罪”を求めているが、とんでもない、なぜ謝罪する必要があるのか。年度内に国政の最重要懸案である政府予算案を成立させるための与党のやむを得ざる行為であった。かといって民主党をこのまま困りきった状態に置いておくことも出来ず、与党側は恐らく、道路特定財源問題の集中審議を行うという“助け舟”を出して、収拾を図るであろう。 国会空転の余波で、もう一つ、民主党が強硬になってしまったのが日銀総裁の同意人事問題だ。福田首相は7日、福井総裁の後任に武藤副総裁を昇格させる人事案を衆参両院に提示したが、民主党が多数の参議院ではこの人事に不同意の決定を下す見通しだ。福井総裁の任期切れは今月19日。参議院で不同意になれば、史上初めて日銀総裁が空位のままになる、という醜態を世界に晒すことになる。 民主党の武藤“総裁”に反対する理由がよくわからない。4つの理由があるということだが、その最大の理由は通貨当局の番人は、政治から中立に置くという“財金分離”だ。旧大蔵事務次官を務めた武藤氏ではこの原則に反するというわけだが、そうなれば今後永久に財務省からは日銀総裁が選べないということになる。 2番目は武藤氏が旧大蔵省時代、降格人事を経験したという「すねに傷」を持つのが日銀総裁としてふさわしくないというものだ。確かに武藤氏は、大蔵省の例の“ノーパンシャブシャブ事件”で当時の官房長から総務審議官に降格される懲罰人事を受けた。それから事務次官に返り咲いたわけだが、この傷が、日銀総裁の“品格”に影響するというのだろうか。 3番目はこれも“品格”に影響するのだろうが、武藤氏の趣味の問題が加わる。武藤氏が達者な油絵を描くことは知られていて、東京芸大教授の絹谷幸二画伯の指導を受け、何回か個展も開いてきた。これはあくまで“噂”だが、武藤氏はこの個展での自分の絵を“不当に”高い値段で関係者に“売りつけた”という。真偽はわからないが、こんなスキャンダルめいた話が伝わること事体、問題だというわけだ。 そして最後の4番目は、武藤氏は英語が苦手だという理由だ。国際会議で日本の国益を代表する日銀総裁が英語のコミュニケーションを満足に出来ないとなれば問題だというわけだ。しかし、これは程度の問題であろう。武藤氏も大蔵省時代、ワシントンの日本大使館に3年間出向した経験まで持っているのだ。 おまけに民主党は武藤氏が東大法学部を卒業しただけで、経済学関係の発表された論文もなく、リーガルマインドしか持たないのが不適格といっているが、こうなるとこれはもうただけちをつけているだけとしか言い様がない。 小沢民主党は、何でも反対のかつての社会党に回帰しつつあるといわれているが、なるほど今回の武藤氏不同意人事については、坊主(自民党)憎ければ袈裟まで憎い、の観がある。こうなったら与党も民主党のやりたい放題にさせて突き放し、日銀総裁をいっそ空位にさせ、あえて世界の嘲笑をかわせる“ショック療法”を行ってはどうだろうか。福田首相は「(日銀総裁人事問題では)いつでも小沢代表と話し合う用意がある」と述べ、再び大連立をほのめかしているが、話し合う余地などもうあるまい。後は小沢民主党がひたすら自爆路線に突き進むのみだ。 西山弘道; ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として 活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。 2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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