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台湾に新政権が誕生した。22日の総統選で圧勝した馬英九氏は端正な顔立ちで、流暢(りゅうちょう)な英語を話す。いかにもスマートな印象だ。翌23日の各紙は、1面トップで選挙結果を報じた。中見出しは一様に「8年ぶりの国民党政権」で、このあたりに戸惑いが感じ取れた。 産経の「主張」も「民主体制の継続発展を」と題し、「国民党が政権を奪回することで、台湾は徐々に中国寄りに変わる可能性もある」として、幅広い観点から東アジアの変化に備えるよう日本政府に求めている。同時に、馬氏が民主化時代の政策に異論を唱えていたことから、民主化の行方にも懸念を示した。 しかし、その後の報道から、民進党の中国資本規制による経済不振が相当に深刻であり、それが選挙結果につながったこと、そして意外にも、馬英九候補を支持した有権者の多くが、台湾人を意識した人たちであったことなどが明らかになった。 この動きについて、元駐タイ大使の岡崎久彦氏は26日の産経「正論」で、「負け惜しみでも何でもなく−台湾の将来について一種の楽観的な見通しを持たせるものかもしれない」と評した。岡崎氏はかねて、国民党が政権を握れば、中国は一国二制度に近いものを迫るかもしれない。それゆえに、台湾住民の間に、国家の将来にコンセンサスができるまで、民進党政権が続くほうが安全であるとして、政権交代を憂慮していた。 しかし、「今度の選挙の結果は、ひょっとすると、あるいは台湾はもうそういう段階に達しているのかもしれないという希望を持たせてくれた」というのだ。確かに選挙結果は、台湾の民主主義が成熟したことを証すものであった。 そこで問題は中国だ。「大人の国」である台湾との対話に、中国はどう応じようとしているのか? 岡崎氏は「今度の選挙の結果から中国が誤ったシグナルを受け取らないことを希望する」と警鐘を鳴らしている。 最後に日本はどう対応するのか? 5月に予定されている日中首脳会談で、福田康夫首相はチベット問題や中台関係についていかに物申すのか。 未知数とはいえ、韓国に続き台湾にも、世界にメッセージを発信できる指導者が誕生した。ここで口ごもっていては、日本の外交は今後、「失われた十年」を迎えかねない。国民は、それを心配している。(産経新聞 インターアクト・ジャパン社長 帯野久美子)
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