情報操作が中国不信を増幅 チベット騒乱で何清漣氏が寄稿
情報操作が中国不信を増幅 チベット騒乱で何清漣氏が寄稿


 チベット騒乱の幕引きを狙った中国政府の公式発表に対して、米欧など主要国の政府、マスコミは、懐疑的な姿勢を崩さない。「中国の闇」(扶桑社刊)などの著書がある在米女性ジャーナリスト、何清漣(か・せいれん)氏は、産経新聞への寄稿で、エスカレートする中国当局の情報操作が対中不信を増幅してきた構図を指摘した。寄稿の抄訳は以下の通り。

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 世界的な注目を集めたチベット騒乱とその後の情勢について、国際社会は中国の国営新華社通信を通じて発表される情報に疑念を隠さない。マスコミを使った中国政府の情報操作に加えて、以下の事情が不信の下地になっている。

 中国当局はまず、外国メディアをチベットから締め出し、報道ルートを新華社に一元化した。事件の情報源と媒体が鎮圧側と三位一体化した情報であり、信じることに土台無理がある。多くの外国人記者が現場に留まり、人民日報や国営中央テレビまでもが官製ではない報道を続けた天安門事件(1989年)とは状況が異なるのだ。

 この十数年間、中国政治で3つの傾向がはっきりしてきた。すなわち、(1)公権力の私物化(2)政府活動の裏社会化(3)暴力行為の合法化と広がり−である。

 03年以降をみると、中国では年間5万から8万件の騒乱が起きている。社会の抵抗を手際よく抑えるため、当局は暴力に依存する習慣を強めてしまった。

 民衆の権利擁護の活動も動き始めているが、こうした活動家や反体制分子に対して、当局は国家安全局など情報・治安機関の介入のほか、犯罪の証拠をでっち上げて投獄することまでしている。

 マスコミに対する暴力団的な脅しや暴力もよくみられる。外国人記者も例外ではない。北京の外国記者クラブでは、昨年80件あまりの記者への嫌がらせなどを報告しているが、犯人を捜しても「身分不詳の暴徒」で終わるのが関の山だ。

 温故知新という言葉があるが、天安門事件の当時にも、学生デモが荒れるように共産党が巧みに仕掛けていたことを思い出してほしい。私服の特務が学生に武器をこっそり渡すといった具合だ。当時総書記だった趙紫陽氏に「米中央情報局(CIA)のスパイ」という罪名を着せる策謀がめぐらされ、連絡役とされた富豪、ジョージ・ソロス氏がトウ小平氏に強く抗議し、米紙ワシントン・ポストが事態をすっぱ抜くまでこの茶番劇は続いた。

 中国政府のやってきたことは、こんな具合である。どうやって一方的に発表される“ニュース”を信用しろというのだろうか。産経新聞

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【プロフィル】何清漣  か・せいれん 中国の女性経済学者、ジャーナリスト。同国の経済改革の構造的問題をえぐった「中国現代化の落とし穴」が1998年にベストセラーとなったが、発禁処分となった。2001年に渡米。