サルコジ大統領 NATO完全復帰 欧州安保に意欲
サルコジ大統領 NATO完全復帰 欧州安保に意欲


 ■「米追随」…仏では不評

 【パリ=山口昌子=産経】フランスのサルコジ大統領が先の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、アフガニスタンへの仏軍増派に加えNATO軍事機構への2009年からの完全復帰を表明したことに、国外からの評価とは裏腹に国内では不満が根強い。野党・社会党は8日、同政権に対する初の不信任案を提出、大統領が目指す完全復帰の是非を問う。不信任案は否決される見通しだが、「米国追随」などとするサルコジ政権批判は当分続きそうだ。

 仏国防省筋によると、完全復帰が決まれば、フランスは軍事機構の要である「防衛計画委員会(DPC)」に09年から参加し、「100人単位の将校」を送り込み、NATOにおける政策や作戦の決定にフランスの意見を反映させ、欧州安保での主導権確保をはかる姿勢だ。ただ、「核計画グループ(NPG)」には「参加せず、独自核を堅持する」(同筋)方針だという。

 フランスは、東西冷戦終結で、NATOの役割が欧州安保に軸足を移したこともあり、シラク前政権時代の1996年に軍事機構のうちの「軍事委員会」に復帰。国防相と参謀長が定期的に会議に出席し、コソボ紛争をはじめ、あらゆる軍事作戦に参加してきた。

 また、NATOが主体となり、域外のアフガニスタンに派遣する国際治安支援部隊(ISAF)にもフランスは約1600人を派遣。大統領は800人規模の増派を発表したが、これもNATO復帰を見据えたものだ。

 シラク前大統領は完全復帰の条件として、NATO刷新や、南欧軍司令官へのフランス人就任を挙げてきた。サルコジ政権は、NATOの刷新について米国が欧州連合(EU)の共通防衛とNATOとの両立つまり「補完性」を正式に認めたことを評価。南欧軍司令官への就任に関しては、完全復帰すれば、「その機会が十分にくる」(仏国防省筋)との考えだ。

 ただ、最新の世論調査では、NATO復帰に賛成が38%に対し、反対は34%と拮抗(きっこう)している。

 フランスは1966年、当時のドゴール大統領が「国防の独立」を目指して核兵器保有に踏み切ったことに、米国が反対したためにNATOを脱退した。当時の社会党は、皮肉にもNATOからの脱退には反対していた。

                   ◇

【用語解説】NATOの軍事機構

 最高機関は軍事委員会。参謀総長レベルでの年2回の会合のほか、軍事代表の常設レベルで随時会合を開催、理事会や軍事政策を決定する防衛計画委員会(DPC)に勧告を行う。核計画グループ(NPG)は1966年12月に設置され、DPC同様、加盟国代表による常設会合がある。欧州連合最高司令部(SHAPE)の最高司令官が制服組のトップで、加盟諸国の防衛に責任を持ち、戦時には陸海空3軍の作戦を命令。北欧軍、南欧軍、即応部隊を傘下に持つ。