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僕が子供のころ、アフリカは「暗黒の大陸」と呼ばれていた。イギリスの有名な宣教師リビングストンが生涯をかけてアフリカを探検した話を夢中で読んだ。行方不明になっていた彼とアメリカの新聞記者のスタンレーがウジジで会った挿絵は、今から考えると正しい情景ではないのだが、感動的だった。1960年はアフリカの年と呼ばれたが、結局、アフリカはそれ以降も世界の向こう側で置き去られてきた。しかしアフリカは、最近、特に2つの理由で脚光を浴びている。 第1は、テロやエイズといった文明の負の部分の温床として。第2は、経済的なアフリカの重要性から。特にアフリカの天然資源は、中国、インドを始めとする新興国の急速な発展が資源の風を世界中に吹かせるようになってから、格段に注目されている。 中国は、ここ数年の間に胡錦濤主席がアフリカの14カ国、温家宝首相が8カ国を訪問している。日本はアフリカの27カ国に大使館を置くだけだが、中国は47カ国だ。狙いは石油や鉱物資源の確保にある。一昨年に北京で開いた中国アフリカ協力フォーラムでは、50億ドルという巨額の開発基金の設立が発表された。全世界に対する中国の援助の4割以上がアフリカに向けられている。まさしく戦略的ターゲットだ。 ただし問題なのは、中国は資源さえ獲得できればいいわけだから、先進国が守っているDAC(OECD開発援助委員会)の国際援助規律に縛られることなく、カネを自由勝手に振りまいていることだ。渡す相手は、人権蹂躙(じゅうりん)国家だろうと、独裁者だろうと、お構いなしだ。 そこへいくと、日本はまじめに援助する。だが何せ額が極めて少ない。日本の経済協力は、毎年の予算査定で削られ削られ、今や10年前に比べて4割減だ。予算編成の「骨太の方針」の下で一律削減にあっているからだ。しかし、経済協力費は一般予算のたかだか1・5%にすぎない。政治決断さえあれば当然、例外扱いは可能なはずだ。ODAは日本が世界で生きていくための「税金」なのだから。 中国はAU(アフリカ連合)の巨大な本部建物をまるまる寄付する。広報効果は、本部所在地のエチオピアばかりでなく、アフリカ中に及んでいる。日本はどうすることもできない。 5月28日から横浜で第4回アフリカ開発会議(TICADIV)が開催される。アフリカ53カ国が代表を送ってくるが、そのうち40カ国以上は首脳の出席だ。日本にこれだけ多くの首脳が集まることは空前絶後なのに、さっぱり開催機運が盛り上がらない。聞けば、限られたパンフレットやポスター作製以外の広報予算は認められていないそうな。 今、世界で起こっていることは、すさまじい勢いでの国家関係と経済競争の変化だ。アフリカの人口は9億人を超える。以前は人口の多い貧困地域では経済成長などおぼつかなかったが、今は逆に人口の多いところが伸びていく。アフリカの成長率はG8諸国よりも高い。経済はいよいよ離陸に近づいた。そこから40人以上の首脳を日本に連れてくるなんて、日本政府もなかなか立派なもんだ。アフリカは日本を頼りにしている。そのアフリカが歩き始めた。このことは覚えておこう。(国際問題アドバイザー・岡本行夫)
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