【台湾次期総統 馬英九は語る】(上)ダライ・ラマ側と対話 まず評価
【台湾次期総統 馬英九は語る】(上)ダライ・ラマ側と対話 まず評価


 【胡錦濤主席訪日】

 今回の胡錦濤中国国家主席の訪日については基本的に楽観している。中国と日本との関係改善は、地域の平和促進につながるからだ。台湾は東アジアの一国家として、地域の安定と繁栄に寄与する事柄はすべて歓迎する。

 日中関係は少なくとも2006年まで良好とはいえない状態が続いた。だが昨年、中国の温家宝首相が訪日し国会で演説を行った。その際、温首相が示した誠意は非常に印象的だった。

 温首相の訪日を契機に日中関係は改善するだろうと当時から思っており、またその後、現に関係改善が見られる。だから、今回の胡主席の訪日は間違いなく日中間の歴史的に重要な出来事になると思うし、台湾としても非常に喜ばしい。

 【中国の台頭】

 中国の経済力が発展していくことは望ましいことだ。地域の国々にとって中国の経済発展はデメリットよりメリットの方が大きい。経済力の強化に伴う中国の軍事力の増大に関して、特に日本と米国の懸念が大きい。だが、日米にはすでに軍事協力のシステムである日米安保条約がある。日米同盟はさまざまな事態に対応できるよう完備されており、中国の軍事力にも対応できるのではないか。

 一方、中国は国際社会で増大するさまざまな懸念について、より慎重に対処しなければならなくなるだろう。国際社会の重要な一員になるにつれ、責任も大きくなることは中国自身も分かっているはずだ。チベット問題が世界各国の関心を集めていることは中国も理解している。中国の統一戦線工作部の幹部がすでにダライ・ラマ14世側と交渉を始めている。交渉の結果はどうであれ、交渉を始めたことに対しては、まず評価しなければならない。

 【中国の民主化】

 今回の台湾総統選は4回目の直接選挙だ。戒厳令解除から21年がたったが、初めての総統直接選からまだ12年。台湾の民主政治の時間は決して長くはないが、その間に多くの障害を克服してきた。

 今回の選挙で顕著だったのは、選挙のプロセスは熱烈だったが平和的に行われたことだ。衝突は一切なく、投開票は順調だった。開票作業も早く、投票終了後3時間以内で選挙の結果が出た。敗者はすぐに敗北を認め、勝者に祝意を表明した。これらは非常に成熟した民主主義国家の特徴だ。

 投票日には、少なくとも(中国人を含む)3億人の華人がテレビ中継やインターネットを通じ、投開票の過程や結果に大きな関心を寄せた。中国では民主化や政治の透明化について大いに努力の余地があるが、中国に地理的に近い台湾が民主的な発展を遂げたことは、中国にとってよい学習の機会になっている。台湾の民主化の進展と経済発展が、大陸の民主化を助ける力にもなるだろうが、中国は巨大であり、民主化にはなお時間が必要だろう。

 【対中傾斜】

 過度な対中傾斜は危険という意見は理解しているが、すでに自然な形で中台間の経済協力は密接な関係ができあがってきた。中台関係の正常化は、1972年の日台断交後、大陸が行った日本との正常化と基本的な理念は同じだ。

 ただ、台湾は香港ではない。中台間の経済関係強化は、地域の平和と安定につながると考えているが、われわれは自らの手で将来を変える。  (台北 長谷川周人、田中靖人 産経新聞)