【台湾次期総統 馬英九は語る】(下)友好保ち「知日派」でありたい
【台湾次期総統 馬英九は語る】(下)友好保ち「知日派」でありたい


 台湾の馬英九次期総統が5日に行った産経新聞との会見で、対米、対日関係などについて述べた主な内容は次の通り。

 【内戦終結】

 歴史を振り返れば、1950年代から21世紀に至るまで、台湾海峡両岸(中国と台湾)は外交面での争奪戦という内戦を続けてきた。生きるか死ぬかの戦いだが、この時代にあって私は、これは過去のものと考える。なぜなら、われわれが大陸(中国)に攻め入ることはありえず、誰が中国の代表になるのかという問題でも、彼らは大陸にあり、歴史的に彼らが中国を代表している。しかし、問題は台湾もまだここにいるということだ。決して台湾は消滅したのではない。

 【対米関係】

 米国の関心は台湾海峡で紛争を起こさないことにあり、民間は(中台の)直接往来の解禁を望んでいる。われわれが7月に(まず週末の)直行チャーター便を運航し、大陸からの観光客の受け入れを解禁することは、米国の希望にかなう。台湾が大陸との関係を改善すれば、米国企業のビジネス拡大にも道を開くことになるのだ。

 もう一つ、米国は台湾海峡に(中台間の)戦争はないと知った上で、安全保障面での連携にも関心を持っている。そこでわれわれも米国に対して連携強化の意向を示す。例えば国防予算は国内総生産(GDP)の3%を維持する。台湾防衛の意志があることを米側に信用させるためだ。

 この点はとても重要だ。もし戦争になれば、軍事力だけではわれわれに勝ち目はない。しかし自己防衛の意志を明示すれば、米国の戦略とも基本的に一致する。自己防衛の意志を示すことは、絶対におろそかにできない。(総統就任後は)大陸との関係改善とともに、国防の改善も進めていかねばならない。台湾は平和のステークホルダー(利害関係者)になるのであって、決してトラブルメーカーにはならない。

 【対日関係】

 私が2年も前から提唱している構想に、東京の羽田空港と(台北市内のローカル線空港である)松山空港を結ぶ定期便の話がある。昨年は上海の虹橋空港と羽田間の国際チャーター便の運航が実現。羽田から(韓国ソウルの)金浦空港にも飛べる。台北はまだ加わっていないが、この4空港を結ぶことができれば便利になる。羽田−松山航路を新設すれば、片道で1時間40分も節約できるのだ。

 台湾では多くの学生が日本語を第2外国語として学んでおり、ここからも若者の交流を進めていける。任期内に外国人留学生枠を広げ、日本の学生の台湾留学も歓迎する。

 日台間にはまだまだ改善の余地がある。例えば日本企業の台湾投資だ。過去数十年間にわたり日台の企業が協力し合い、台湾の多くの産業が発展した。大陸への共同投資を行えばさらに発展するだろう。言葉や経験の面で話はより順調に進むはずだ。

 日台の企業が大陸でのビジネスで連携することを私が奨励するのは、経済的にメリットがあるという理由だけからではない。より重要なのは大陸の考え方を徐々に変えていくことだ。大陸の現代化が早ければ早いほど、日本と台湾は安全になるというのが、私の理念だ。いつも言うことだが、私はよき「知日派」でありたいと願っている。日本との友好関係を保ってこそ(台湾は)正常な状態なのであり、「反日総統」が現れたなどと心配しないでほしい。(台北 長谷川周人・産経)