|
【モスクワ=内藤泰朗=産経】ロシアのメドベージェフ新大統領は9日、第二次大戦の戦勝63周年記念式典で、軍の偉大さを強調。新たな武力対立をもたらす「国境見直しの試みはもってのほかだ」と非難し、北方領土返還を求める日本を暗に牽制(けんせい)した。式典では、ソ連崩壊以来初めて戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの新型兵器がパレード。国民の愛国心を鼓舞し、軍事大国を維持する姿勢を示した。 ロシアでは「勝利の日」の9日、各地で祝賀式典が行われた。モスクワ中心部の赤の広場では、7日に就任したばかりのメドベージェフ新大統領が前大統領のプーチン首相らと観閲。新大統領は演説で、「大きな悲劇となった先の大戦から学び、新たな戦争を回避すべく努力しなければならない」と語った。 さらに、「他国からの内政干渉の試みには注意しなければならない。特に、国境線の見直しの試みはもってのほかだ」と言明。「軍は国とともに強くなっている」と述べ、復活し始めたロシア軍を称賛した。 報道によると、この後には、8000人の将兵のほか、新型戦車T90やロシア版迎撃ミサイルS300、新型の移動型地対地ミサイル「イスカンデール」、移動型ICBM「トーポリ」などが初めて赤の広場に姿をみせた。戦略爆撃機Tu160やTu190、世界最大の輸送機ルスラン、空中給油機なども上空を低空飛行。沿道には多くの市民が繰り出した。 約17年ぶりとなる赤の広場での軍事パレードをめぐっては、清掃費など原状復帰にモスクワ市だけで13億ルーブル(約60億円)もの巨費がかかる▽軍事パレードは冷戦時代を彷彿とさせる−などの理由から反対する声もあった。ただ政権側は、ロシア人が「大祖国戦争」と呼ぶ第二次大戦での「偉大な勝利」を、同国の誇りとして国民を団結させるために「最も重要なお祭り」と位置づけている。 ロシアは毎年、国防予算を2〜3割ほど増額して新兵器の導入など軍の近代化に力を入れている。新体制発足を機にした軍事パレードには、北大西洋条約機構(NATO)拡大問題などで対立する欧米諸国やグルジアなどの旧ソ連圏に力を誇示する意図もありそうだ。
|